風鈴神社

自然の囁きを声として反復することでメロディーを生み出すブログ兼放射性廃棄物処理場。はじめての方は「☆☆☆」か「はじめての方向けの引用」のカテゴリーからどうぞ。

はじめての方向けの引用

ポール・ヴィリリオ『民衆防衛とエコロジー闘争』

「軍団の密集した防衛の後に、身体なき抵抗が続く。このクラウゼヴィッツ的な《どこにもない》は本質的である。というのも、身体なき抵抗の彼方で、軍事的捕食者によって居住不能にされてしまった地上で、既に領土なき抵抗が思い浮かぶからである。」(ポー…

けめくじ氏の『書き込みと引用』について2

「芸術家とは、その内的な感性の鋭さ故に政治に背を向けるのではない。内的な繊細さが要求されてもいないときに外的な鈍感さを装う、きわめて政治的な存在なのである。それはほかでもない、制度的に深く政治に加担する存在だということだ。」(蓮見重彦『凡…

吉本隆明『ハイイメージ論Ⅲ エコノミー論』

「ガルブレイスの言い方をかえれば、大衆的な貧困はどこでも第一次産業(農・漁・林)のところで起こることになる。極端にいえばここでは貨幣が介在しないで生産の循環が可能だから、また極端にいえば「着のみ着のまま」「ただ生きているだけ」の衣食住の条…

ニーチェの陰謀2

ところで道徳は、ある種の人々や階層が絶望へと陥り、無へと跳び込むのを防ぐことで生を守ってきたのだ。その人々や階層というのは、人間たちによって虐げられ、押さえつけられてきた人々や階層である。というのも、人生に対して絶望的な苛立ちを感じるのは…

ハンナ・アーレント『全体主義の起源2 帝国主義』

決定的なことはむしろ、およそいかなる法規定もないような立場にある人々は、自動的に法体系の逆立ちを引き起こすという点である。無国籍者とは「法律がそれに対して何の供えも持たない変則状態である」人間である故に、彼が正常状態に戻れる唯一の道は、法…

ハンナ・アーレント『暗い時代の人々』

(…)話はモスクワの被告が明らかに無実であるということに移っていった。そこでブレヒトは、長い沈黙の後で次のように言った。「彼らが無実であればあるほど、彼らは死に値する」。この言い方は乱暴に聞こえる。しかし彼が本当に言おうとしたことは何であった…

ヴァルター・ベンヤミン『複製技術時代の芸術作品 XIX』

(…)ファシズムの行き着くところは当然ながら政治生活の耽美主義化である。(…)政治を耽美主義化しようとするあらゆる努力は、ある一点において極まる。この一点とは戦争である。戦争が、そして戦争だけが、従来の所有関係を保存したまま、最大規模の大衆運動…

永井均『なぜ悪いことをしてはならないか』2

(…)だがしかし、その答えもまやかしである可能性はないのか。最後にこの哲学ゲームそのものの欺瞞性を疑っておこう。私自身が献身しているこのゲームの精神に忠実であるためにである。取り決めをした最初の一人が哲学的な議論をし始める可能性を考えよう。最…

永井均『なぜ悪いことをしてはいけないのか』

(…)道徳が有効であるためには、それは神聖にして不可侵のもので無ければならない。だからなぜ悪いことをしてはいけないのか、なぜ道徳的でなければならないのか、といった問いに「かくかくしかじか」といった明快で単純な答えがあってはならないのである。そ…

ニーチェ 『曙光 499』

悪者。―――「孤独なものだけが悪い!」とディドロが叫んだ。そこで直ちにルソーは致命傷を受けた気がした。それ故に彼はディドロが正しいことを承知した。実際全ての悪い傾向は、社会の交際の真中できわめて自制し、極めて「多くの仮面を前に当て」、しばしば…

ミシェル・フーコー『わたしは花火師です』

(…)人間の悲惨をさを説明することだけではない政治的な思考というものが、そもそも可能なのでしょうか。現在の政治的な思考は悲惨さを告発するだけのものとなっていますし、それは笑って済ませられることではないということは、お分かりいただけると思いま…