風鈴神社

自然の囁きを声として反復することでメロディーを生み出すブログ兼放射性廃棄物処理場。はじめての方は「☆☆☆」か「はじめての方向けの引用」のカテゴリーからどうぞ。

ヴァルター・ベンヤミン『複製技術時代の芸術作品 XIX』

(…)ファシズムの行き着くところは当然ながら政治生活の耽美主義化である。(…)政治を耽美主義化しようとするあらゆる努力は、ある一点において極まる。この一点とは戦争である。戦争が、そして戦争だけが、従来の所有関係を保存したまま、最大規模の大衆運動に一つの目標を与えることを可能にする。これは事情を政治の側から見た言い方である。同じ事情を技術の側から見れば次のような言い方ができる―――戦争だけが、所有関係を保存したまま、現代の技術手段を全て動員することができる。(…)帝国主義戦争は、技術の反乱である。技術の要求に対して社会が自然の資源を与えなくなったので、技術はその要求をいまや<人的資源>に向けているのである。(…)人類の自己疎外の進行は、人類が自分自身の全滅を第一級の美的享楽として体験するほどになっている。これがファシズムが進めている政治の耽美主義化の実情である。このファシズムに対してコミュニズムは、芸術の政治化を持って答えるのだ