（…）人間の悲惨をさを説明することだけではない政治的な思考というものが、そもそも可能なのでしょうか。現在の政治的な思考は悲惨さを告発するだけのものとなっていますし、それは笑って済ませられることではないということは、お分かりいただけると思います。右翼の悲観主義は、人間がどれほど野卑なものか、見て御覧なさいと告発します。左翼の悲観主義は、権力がどれほどいやらしいものか、みてごらんなさいと告発します。革命の約束という罠に陥らずに、黄昏と夜明けのお告げという罠に陥らずに、こうした悲観主義から逃れることができるものでしょうか。今問われているのはまさにこのことだと思います。
