風鈴神社

自然の囁きを声として反復することでメロディーを生み出すブログ兼放射性廃棄物処理場。はじめての方は「☆☆☆」か「はじめての方向けの引用」のカテゴリーからどうぞ。

ほとんどすべての人のための哲学入門(ラノベ風)7

登場人物
神埼姫子 天才にして高貴なる神の巫女ついでに哲学者
神埼空海 正義の味方

空港ロビー

姫子「お帰り、空海さん」
空海「おいおい空海さんはまだ直らないのか。普通に兄さんでいいじゃないか」
姫子「あなたを兄さんと呼ぶことはできないのよ」
空海「まだ昔のことを引きずっているのか。よくあることだ、気に病むことはない。それともお前のことを改めて妻と呼べばいいのか?」
姫子「わかってるくせに」
空海「別にお前の愛情を疑ってるわけじゃないさ。それに私もここに少ししかいられなくてね。また会議さ」
姫子「空海さんも少しは自分の身体を労ってよ」
空海「私の体はすべての人のためにあるが、その中に姫子がいてくれることは嬉しい。お前の気持ちだけで十分だよ」
姫子「……」
空海「いつも言ってるだろう。あらゆる不幸な人々に理解を示し、日々努力を怠らず、それでいて快活さを失わないこと。当たり前のことをやっているだけさ」
姫子「当たり前のことをやれるのは人間じゃないのよ、空海さん」
空海「人間全体のために個人が犠牲になるのはやむを得ないことさ。たとえ一生が他人のために捧げられても悔いはない。自分でこの道を選んだのだから。お前まで冷たいことを言わないでくれ」
姫子「本当にしょうがない奴隷……」
空海「おっとそろそろ時間か」
姫子「元気でね」
空海「姫子もな。また連絡するよ」