風鈴神社

自然の囁きを声として反復することでメロディーを生み出すブログ兼放射性廃棄物処理場。はじめての方は「☆☆☆」か「はじめての方向けの引用」のカテゴリーからどうぞ。

ほとんどすべての人のための哲学入門(ラノベ風)6-2

夜空「それで何が言いたいの?」
姫子「道具の使用と理論の利益の間に決められた関係というものはない。ということは、理論に内在する利益の期待値が道具の使用と等しくなった場合に効率は最大になる。これが発明と呼ばれるわけだけど、逆に言うと発明の理論はないということ、あるいは説明は不可能だということよ」
学「それはどう違うんですか?」
姫子「いい質問ね。それは単純に理論の説明とは何か、言葉とは何かという問いになるわ」
学「言葉は科学で説明できるんですか?」
姫子「まあ無理ね。言葉を作るためには無あるいは観察者が必要なのだから、いずれにしても『創造主』が要求される。この時点で科学は模倣ではなくなり創造という神学の基準に移ってしまう。たとえその名前に脳が使われようとね」
学「よく科学は人類の役に立つと言われてますけど、それについてはどうですか?」
姫子「それはね、誤った対比がなされているのよ。進化論のせいでもあるけど、本来科学上の知識についての優劣は、過去の人間に対してではなくて現在の人間同士の使用の利益配分にあるのよ。要するに、大勢の人間は無知だから科学を勉強しなさいというわけ。技術革新の可能性も価値転換の予想も、発明の発明はないということを隠すのに役立っているにすぎないわ」
夜空「それで最初の問題に戻るわけね」
姫子「その通り。科学者を奴隷にする方法は科学が直接作ることのできる言葉を考えればいいという結論になる。本当は科学は労働も作ることができるのだけど、こっちは奴隷の道だからね。命令と身ぶり、そして愛の言葉と嘘で科学は手段になる。はい、今日の講義はここまで。ご静聴ありがとうございました」
夜空「兄さん、質問のしすぎ」
学「お前は何に怒ってるんだ」