風鈴神社

自然の囁きを声として反復することでメロディーを生み出すブログ兼放射性廃棄物処理場。はじめての方は「☆☆☆」か「はじめての方向けの引用」のカテゴリーからどうぞ。

ほとんどすべての人のための哲学入門(ラノベ風)6-1

学「こんにちは、先生。今日は妹と一緒に来ました」
夜空「こんにちは。今日の科学についての講義が楽しみです」
姫子「ありがとう。期待していて。きちんと爆発を念じてあげるから」
学「変なことを言いますね」
夜空「先生はきっと緊張してるんですよ。兄さん、席に座りましょう」
学「どこがいいかな」
姫子「できれば前の方がいいんじゃない。質問もしやすいし」
学「そうですね、夜空、前の方へ行こう」
夜空「……そうね」
姫子「そろそろ人数が集まってきたので始めたいと思います。今日の講義は科学者を奴隷にする方法についてです。そのためには科学を手段として利用できるようにきちんと考えておかなくてはなりません。そもそも科学とは何でしょう?」
学「仮説と実験を反復して理論を作っていくことじゃないですか」
姫子「それだと動機がわからないわね」
学「探究心、好奇心、それだけじゃ足りない気がします」
姫子「科学の出発点は模倣にある。というのは理解するということが模倣するということだからよ。理論を作るとか知的好奇心とかは後付けの理由ね。ではなぜ理論を作るのか?」
夜空「利益になるからでしょ」
姫子「悪くないけど、それだけじゃ弱い。利益があるからじゃなくて使ってみたいからなのよ。利益はその結果ね。ではどうして理論を使うことは利益になるのでしょう?」
学「物を作れるから?」
姫子「正解、その調子よ。でも科学は本来物を作ることはできないのよ」
学「どうしてですか?」
姫子「科学は物を作る道具を考えるだけで、その使用の結果を考えているわけではないの。物を作ってるのは道具の方なのよ」
夜空「ややこしい、もっと簡単に言ってくれる?」
姫子「観察によって理論ができたからといって、道具が使用されない限り利益になることはない。つまり、理論と道具の間には使用可能な利益の割合に応じた限界があるということ。わかりやすく言うと、カップルのいちゃつき具合に応じたイライラ度は、語られる悪口の量に反比例するということよ」
学「よくわかりません」