風鈴神社

自然の囁きを声として反復することでメロディーを生み出すブログ兼放射性廃棄物処理場。はじめての方は「☆☆☆」か「はじめての方向けの引用」のカテゴリーからどうぞ。

「人質の解放を要求する」

テロリズムは許せない!」「どうしてか?」「アメリカの属国の人間が人質となったからだ!」
確かにこれは許しがたいことである。アメリカに支払っている経費よりもずっと少数の金額しか要求されなかったからだ。したがって我々は「テロとの戦い」に屈服しないために人質が殺されないよう身代金の上乗せを提案しなければならない。本来、人道に反しないためには、支援物資を伴った空爆や新兵器・新戦略の実験やきちんと「管理された」強制収容所での心理学的拷問が必要不可欠なのだが、テロリストは非人道的なのでそんなことは行うことができないであろう。その代わり彼らは我々の「平和を愛する」人たちに対してメディア爆撃を仕掛けてきた。重要なのは日本政府が公式に日本人の人質の動画や写真をテロリストの表明ともに公表したことであった。つまり、アメリカのせいで人質がとられたということをテロリストの形式で表現したということだ。これは考えうる限りで唯一のアメリカに対する正当な不満である。仮に日本政府が「テロとの戦い」を掲げるのだとしても、それは本質的にアメリカの影響力との戦いにならざるをえない。ちなみにイスラム過激派は聖典解釈の濫用を怖れているわけだが、この点で安倍首相が彼らを非難することは理に叶っていると言える。どんな理かは言わぬが花だが…。安倍首相が本来誰のことを「卑劣」と呼ばなくてはならないか考えてみるのも興味あることだろう。むろん最悪のケースはアメリカと共同で「テロとの戦い」に巻き込まれることである。その場合、日本をアメリカの属国と見なすようなあらゆる表現がテロリストの名のもとに弾圧される可能性がある。常に「敵」を作り出さざるをえないのは典型的に全体主義の戦略である。人質の姿が沖縄の人間に置き換えられたとしたら、この問題はもっと深刻に明瞭になったであろう。匿名の敵が誰なのかは言うまでもない。