風鈴神社

自然の囁きを声として反復することでメロディーを生み出すブログ兼放射性廃棄物処理場。はじめての方は「☆☆☆」か「はじめての方向けの引用」のカテゴリーからどうぞ。

ほとんどすべての人のための哲学入門(ラノベ風)3

学「今日は自分で考えてきましたよ。質問し考える主体、つまり『私』というものが存在するということですね」
姫子「……」
学「なんですか先生、急に黙りこくって」
姫子「……」
学「先生何か言ってください!」
姫子「……」
学「僕が言ったことが気にくわなかったんですか?なら謝ります、ごめんなさい。でもどこが悪かったんですか。教えてください」
姫子「『私』が悪いのよ」
学「何をいきなり言い出すんですか。先生は何も悪くありません」
姫子「そうよ、先生は何も悪くないわ。悪いのは『私』」
学「ああ、そっちの方ですか。でもなぜ?」
姫子「もし『私』が存在するのなら、あなたは何で考えるのかしら?」
学「『私』じゃないですか?」
姫子「なぜ『私』なのかしら」
学「だってそれはつまり……」
姫子「そう、それは『私』に質問しているだけで『私』が存在するということにはならないのよ。問いがあり、それを考えることができるのなら『私』は存在するのでなければならない。《したがって》『私』は存在する。これはおかしいのではないかしら?」
学「いや、ここで言っている『私』は『私』じゃなくてですね……」
姫子「ではなんなのかしらね。『無』かしら。それとも『神』かしら。ただ問い方を変えてるだけじゃない」
学「じゃあ質問をしなければいいって事ですか?何を質問してもそういう風に言えていまいます。質問するだけ無駄でしょう」
姫子「問い続けるという選択肢があるじゃない。何を問うても無駄、それでいいじゃない。無駄なんてないんだから」