風鈴神社

自然の囁きを声として反復することでメロディーを生み出すブログ兼放射性廃棄物処理場。はじめての方は「☆☆☆」か「はじめての方向けの引用」のカテゴリーからどうぞ。

悲しみが間違っている

・優しいのが好きだという。そして怖いのが嫌だという。だから狂気を召し上がれ。
・苦しみを減らそうとするのも苦しみを増やそうとするのも人間の苦痛を増加させる。人間を強化すべきなのか軟弱にすべきなのか。
・虐殺するのが正しいのなら平穏に生活するのは犯罪である。犯罪は許すことができない。
・間違っていることを間違っていると言わないのは正直である。頭を殴りつけるのは嘘つきである。だから人間を叩き殺すことは正義にかなっている。どうしてかね、悲しそうな顔をしている諸君?
・酸素が有毒であるということが宇宙人にはわからない。したがって人間は消毒されることになる。
・語り口調が眼差しを聴いている時、自然はため息をつき、空は苦しみのうめきをあげる。
・いつまでたってもなくならない雲が汚物を吐き出して人々を神聖にする光景は写真に映らない。
・銀色の森に住む哀れな娘は波の音を聴いてたたずんでいました。波の音は木の銀色の香りに包まれて広がりひとつの風景を作り上げています。そこから崖へひとっ飛びすると橋の高さまで銀色の風が連れ戻してしまいます。貝殻の雫は橋のロープを伝わり、橋は必死に娘を振り落とそうとしましたがどうしてもうまくいかないのです。娘は銀色の風に向けて貝殻の音で頼みましたが聞き入れてくれません。ふと気がつくと一人の影がやって来て娘を殴りつけました。すると風が歌い出し地面にルビーが煌めき森は呼吸を取り戻したのです。影は貝殻の中に入り込み音楽記号の一つとなったのでした。
・暗闇に裏切りを犯した女がいた。女は神をも怖れぬ力強い声でこう言った。「私が悪いのだとしても彼はもっと悪い」すると水の精が現れて言った。「鏡を見てごらんなさい。悪いのは誰ですか?」「私じゃない」すると風の精が現れて言った。「風の音をよく聞きなさい。悪いのは誰ですか?」「私じゃない」すると火の精が現れて言った。「火の熱さを感じるがいい。悪いのは誰だ?」「私じゃない」すると土の精が現れて言った。「土の意志を知るがいい。悪いのは誰だ?」「私じゃない」すると天使が現れて言った。「そうですあなたは悪くない。男を引っ捕らえて袋叩きにしなさい」「それは悪いことです」女は言った。そこで神は女のことを我慢した。悪魔だけが女を許すことにした。
・少年の顔には周りの景色に対して透明であるように諦めが映っていた。しかし幽霊はあえて違う表情をするように努めたので少年は釈明を要求した。「僕は生きることを諦めているけどご覧の通り存在しなくなることは諦めていないんだ」幽霊の苦しみは少年の心を砕き、幽霊の怒りは少年の優しさを潰し、幽霊の涙は少年の笑いを誘った。「幽霊は夢の中で殺されるべきだ。そこ以外に逃げる場所はないのだから」幽霊は赤面し透明になり諦めとともに顔から忘れ去られた。