風鈴神社

自然の囁きを声として反復することでメロディーを生み出すブログ兼放射性廃棄物処理場。はじめての方は「☆☆☆」か「はじめての方向けの引用」のカテゴリーからどうぞ。

四回目の爆発『知識人の商品形態』2

ガルブレイス(『不確実性の時代』)によればケインズ以前の経済学では、理論的には全ての労働者は仕事にありつくことができ、それによって経済的均衡を得られるため、遊ぶために休暇をとっている労働者や娯楽施設は全て異常なものであると考えられていたのに対して、ケインズの理論は、持続的かつ深刻な失業の状態を抱えていても、経済的均衡に達することができるということを明らかにした。失業者がいる状態での経済的均衡の原因は個人や企業が所得を貯蓄に舞わす額が、投資によって得られる利益水準よりも高くなるということにある。そのようなことが起こりうるということがケインズの発見の一つだったのだが、それを解消するためには政府が借金をして投資を行なえば、失業者を減らすことができるとケインズは主張した。ガルブレイスは皮肉にもそれを最初に大体的にやったのはナチであり、ヒトラーこそ戦争によって同盟側の国の失業者もドイツ国内の失業者も解消させたと言っている。ところでガルブレイスは、ケインズの問題点もいくつかあげている。まずケインズの解決策が役に立つのは豊かな国だけであり、貧しい国には役に立たないということである。これは現在の人材投資にきわめて直接的に関係のあることである。ケインズの解決策は政府の恣意によって偏りが生じやすいうえに、貧しい者たちには全体(経済学者のGDPとかいう寝言)としてしか、つまりまったく利益を与えられない。数理経済学の貴重な貢献は経済学者を忙しくさせておくことにある。次にケインズの解決策はインフレには無力であるということである。インフレには失業者を増やせば対処できるが、それをケインズの理論で行なうことにはケインズの意図と明白に矛盾するのである。ガルブレイスはもし企業の価格や労働組合の賃金の上昇は、直接行動以外には喰い止めることができないとはっきり言っている。しかしそうすれば市場制度に干渉することになり、暴力によって市場に介入することへの道が明白に開かれてしまうのである。こうなると後はケインズ流の解決策をあたかもアダム・スミスの「神の見えざる手」と言ってごまかすか、ひたすら無意味な会議で時間を稼ぐことしかない。時間を稼いで分かるのは失業は決して改善されないし、一部の優良な資本家はますます豊かになるということだけである。つまり自分達が強くなるまで時間を稼ごうという腹なのだ。ここで必要なのは新しい形態のインフレを起こすことであり、全ての人間が潜在的な銀行の機能を持った貨幣創造者となることである。何が貨幣であるかは恣意的であり、それを創造するには、信用を預けられるような人格を創り、その信用を預けた人が信用を借りる他者と同時に引き出さないように利用するだけでいい。ここでいう信用とは言葉、あるいは思想と言ってもいいが、メシア思想だけはあってはならない。一体自分達を抑圧するための人間を選挙で選ぼうとでもいうのか?それは決して返すことのできない借金を借りるようなものであろう。