風鈴神社

自然の囁きを声として反復することでメロディーを生み出すブログ兼放射性廃棄物処理場。はじめての方は「☆☆☆」か「はじめての方向けの引用」のカテゴリーからどうぞ。

十回目の爆発『政治』

・「おまえはいままでに食ったパンの枚数を覚えているのか?」
単に人間を物質的食料と見なすにすぎないのなら、生きたパンという意味は生物学的な意味でしかなくなってしまう。吸血鬼は「永遠の生命」の世俗化である。「永遠の生命」という概念を不老不死や何度死んでも生き返るという理解方法でしか考えないのは、実際に我々がそういうことを理解できるようになる瞬間は決して訪れることがないということを無視することになる。不老不死や不死身は常に次の瞬間には「魔法が解けてしまった」という事態を想定可能である。食人衝動にも大した意味はない。それは本質的にすべて享楽の行動であり、我々の道徳的妄想である。我々が人間を食べられるようになる瞬間は決してやってこない。我々が食べるのは人間でないか、それとも食べるという当たり前な行為をなにか誇張して表現するかである。
ケインズ流の経済政策がうまく行かないからと言って、イノベーションを推進しようという考えほど矛盾しているものはない。一体イノベーション投資するとでもいうのだろうか。ところで「イノベーションによって新しい事業などが発見できる」という商品を生産することは可能だが、それで新しい発明が行なわれるとは限らないということは自明のことである。そもそも市場原理になにか必然性でもあるのだろうか。なぜ市場原理に代わるものは発明してはならないのだろうか。そもそも発明が効率的だとでもいうのだろうか。
・ごく単純に考えて、検索やネットワークのパフォーマンスを最適化したりするのと、自分でなにか良い表現をするのとではどちらがいいのかという問いはナンセンスなのではないのか。それとも検索システムなどを最適化することだけがあなたの思想の表現だとでも言うのだろうか。これ以上哀れなものを想定することはできないだろう。
・あいもかわらぬ「脳自体」に対しては、「マーズ・アタック!」の火星人に対してしたように脳を念入りに踏んで音を立てるだけで充分である。
・「(…)七月に発表されたこの文章は、秘密裏に準備がなされた。その中で「双方は、尖閣諸島東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識」との合意をした。このことにより、日本政府は尖閣諸島をめぐる領海権問題の存在を事実上認める道を開いた。これは日本の中国に対する大幅な譲歩である。日中首脳会談で「四項目の一致点」について確認したことにより、尖閣諸島をめぐる日本の立場が後退したことが決定的になった。」(佐藤優東京新聞 2014年11月14日』)
・「会議というものがどういうものかを理解しておく必要があります。中には、もちろん純粋なレクリエーションとしての会議があります。男性がときには女性もまじえて集まりますが、その費用は会社や財団が持ちます。その目的は、無料の気晴らしであり、それが税金逃れの意味を持つこともあります。それはアイデアの交換ということで正当化され、その価値はしきりに強調されています。そのような会議を批判して、まったくアイデアの交換など行なわれなかったではないかとは、なかなかいいにくいものです。真面目な会議についていえば、情報交換を目的とするものはごく少なく、何らかの決定を下すための会議というものはもっと少ないものです。たいていの会議が開かれるのは、共通の目的を宣言し、参加者に各人が一人なのではないことをわからせ連帯意識を強めるためです。また会議は、実際に行動できないとき、行動のかわりとなります。会議が開かれることによって、参加者ばかりではなく、往々にしてそれ以外の人々も、実際には何も起こらず、また起こりえないのに、何かが起こっているという感じを受けるのです。」(ジョン・K・ガルブレイス『不確実性の時代』)