風鈴神社

自然の囁きを声として反復することでメロディーを生み出すブログ兼放射性廃棄物処理場。はじめての方は「☆☆☆」か「はじめての方向けの引用」のカテゴリーからどうぞ。

五回目の爆発『利己主義者の問題』3

「あらゆる反対の声を押し切って十分きびしく推進するなら、支出削減と増税は公共・民間の支出を減らし、総需要―――あらゆる財、サービスに対する需要―――を削減するでしょう。しかし財政政策は差別的な効果を持っています。そしてそれは経済のさまざまな部分にたいしてさまざまな作用をします。経済のうちで大企業によって支配される半分においては、すでにしばしば見てきたように、価格をコントロールする力―――値下がりに抵抗し、費用の上昇があれば値上げする力―――が存在します。経済のこの部分における需要の減少ないし削減は、まず売り上げ、生産、そして雇用にひびきます。金融政策についてと同様に、この部分で物価の上昇が押し止められるのは、生産能力が大量に遊休しており、かつ労働組合が賃上げをあきらめるにたるほどの失業がある場合に限られます。他方、財政政策は小企業者と農民に不利に作用します。したがってこの場合でもいたましいことになります。財政政策をインフレにたいしてきびしく適用することができたとしても、それは、同等な、正反対の、そしておそらくもっと大きな害悪、すなわち失業を生みだすことによって作用するでありましょう。さらにまた、その効果は農民と小企業の価格を引き下げるでしょう。彼らはまだ市場の力に服していますので、彼らの価格をコントロールできないのです。」(ジョン・K・ガルブレイス『ほとんどすべての人ための経済学入門』)
「多数の人がうぶで愚鈍でさえあったことは明らかである。しかもそのように言ってしまうと、知性は金につきものであるという前述の仮定に真っ向から反することになる。金融界はこうした無節操な過ちを犯すほど低能ではない、という想定を崩すことはできないのだ。」(同上『バブルの物語』)
「自由企業性の立場・教義において広く認められているところによれば、市場は外部的な影響を中立的かつ正確に反映するものだとされている。市場自体に過ちの種が内蔵されていて、その内部的な力で市場が動かされると、というふうには考えられていない。これは古典的な信仰である。したがって崩壊の原因として、市場の外部にある何か―――それがいかにこじつけであるにせよ―――を見つけ出す必要が生じる。あるいはまた、何らかの形で市場が濫用され、そのために市場の正常な働きが抑えられた、と説明する必要が生じるのだ。」(同上)
「先に述べたように、投機は、商業もしくは金融の分野で、何か一見新しいと思われるものに対して大衆的な想像力が定着するときに起こるものである。」(同上)
「経済問題のうちでも、この一般論について理解することくらい重要な―――そして多くの場合に単純な―――事柄は多くない。この一般論とは、金融上の操作はおよそ革新にはなじまないものだ、ということである。その時々に革新的だとして喧伝されるものは、例外なしに、既成のやり方をごく僅か変えてみただけのものである。つまり先に述べたように金融に関する記憶が短いということのゆえに、何か新規らしく見えるというだけのことなのである。」(同上)