三回目の爆発『貧困と労働者』２

どのようにすれば商品形態を商品にすることができるのか。人間の表象能力だけで情欲を貨幣にする方法。しかし商品を作る生殖の能力と倒錯の情欲による幻想の能力は完全に対立しているのではなかったか？ここで問題になるのはなぜ商品形態を迂回する必要があるのかである。商品を生産するのは労働者であるが、労働者の性格は表象の能力からするとどのように表現されるのか。労働者とは、情欲を表象として生産するものとしての人間が、特定の規格化された表象しか生産できなくなってしまった状態のことである。労働者としての人間は、それがおよそ情感を産みだすとされる道具を生産する限りで価値が与えられる。だから労働者は自身が産みだす道具によって代理＝表象されていなくてはならない。しかし道具は商品として扱われるためには自身の価値を有用性という基準からでしか表現できない。ここから道具の有用性によって代理＝表象された労働者は貨幣によって自身の情欲を代理＝表象しなくてはならない。だがこの代理の性格こそが疎外の本質であり、貨幣で商品を買ったとしても情欲の価値は代理＝表象されたままで、その価値は有用性でしか表現されないことは変わることがない。貨幣は代理＝表象されている限り有用性の記号だからである。この代理的性格を解消するためのは人間の表象能力が商品となるか貨幣となるかのどちらかである。自身の表象能力を商品として扱う場合（つまり売春の場合）、払ってもらえるのは依然として貨幣だけであり、道具としての身体の有用性を表象しているだけにすぎないのである。表象能力を貨幣として扱う場合は、自身の情感能力によって直接商品を買うことができればよいことになる。ここには三つのポジションがある。憎悪による商品の破壊、知識による購買ポジションの上昇、そして愛による不当な情欲を商品に付け加えることで、商品が自らを売るように仕向けること。ここでまだ労働力商品になっていない子供にこれら三種の行為の対象とすることほど安易なことはないと言っておくべきだろう。商品価値の破壊、商品の質の向上、そして別の商品価値を与えること。だから教育は利益になるのである。知識の本質は無知のポジションを維持することにある。つまり貨幣の欲望と同じく常により多くの価値とポジションを獲得することだけを望んでいるのであり、情欲が行使されるには言葉などのメディア媒体が必要になり、直接情欲を行使することはできなくなるのである。だから知識によって購買者の情欲を誘発しさらなる情欲を拡大させるような商品として扱うだけでは貨幣として機能することはできないのである。憎悪の特徴とは、人間を破壊するためにのみ商品として扱えるように仕向けるという点にある。物質としての商品は破壊できるという性格を持つ。つまり憎悪はある意味では正当な情欲を相手に植え付ける―――復讐によって―――のである。もし愛によって別の不当な情欲を植えつけられた場合には、その不当な情欲を愛によって生産的なものとする以外に愛から逃れる方法はないのである。というのも愛は元の情欲を奪って別の情欲に置き換えるという行為だからであり、それが不当と感じられるのは、愛は商品形態を有用性に基づく利益としてではなく、情欲の対象として扱おうとするからである。