風鈴神社

自然の囁きを声として反復することでメロディーを生み出すブログ兼放射性廃棄物処理場。はじめての方は「☆☆☆」か「はじめての方向けの引用」のカテゴリーからどうぞ。

『爆発の引用』3

カフカが真に天才であるのは、かれが伝達不可能性に固執するために真理を犠牲にするというまったく新しいことを試みた点にある。」(ハンナ・アーレント『暗い時代の人々(ヴァルター・ベンヤミン)』)
「40.7.6
ドイツの指導者層にならって、今度はフランスの指導者層がヒトラーを連れてきたのだ。民衆が社会的に獲たものを回収するために。彼らは(トリアノン条約以後の)オーストリアに範をあおごうとしている。ラヴァル氏は、議会は消えるが、議員は残ると言う。残るとも(ヴァアラ)。文学者は残るだろう。だが文学は消える。この戦争が続く限り、この国の大作家たちは一字も書けはしないだろう。そしてイギリスでは、紳士階級(ジェントリー)が財界と一体になって、戦争を進めている。彼らも大殺戮マシーン(海軍、空軍)に肩入れしている。そこでは下っ端は人間の数に入らない。そうこうするうちにドイツは、ヨーロッパの新秩序計画をつくりあげる。強大な中央ヨーロッパが立案されている。「小国家群の不健全な政策を精算せよ」というわけだ。」(『ブレヒト作業日誌 上 1938-1942』)
「西洋文化を、とりわけ「ブルジョワ」文化を深く究め、それを容認できるものにするという口実で、その基盤のかずかずを掘りおこそうとする試みは、常にその文化を人間的に正当化するという結果に終わってしまう。しかしニーチェ外的な制約の―――社会は必然的にそうした制約を課すものなのだが―――イデオロギー的否認のうえに成立するあらゆる社会を告発して以来、あらゆる正当化の可能性は最初から奪われている。制約のイデオロギー的否認は、文化の概念によって表現される。つまり、一つの概念から出発した文化の誤った解釈によって。文化の概念が近代社会にいたってようやく形成されたということは、そのまま生きられた文化が消滅してしまったことの証拠である。」(ピエール・クロソウスキーニーチェと悪循環』)