風鈴神社

自然の囁きを声として反復することでメロディーを生み出すブログ兼放射性廃棄物処理場。はじめての方は「☆☆☆」か「はじめての方向けの引用」のカテゴリーからどうぞ。

ディスクール機関銃の物語生産

夢があるのだと勘違いしていた
夢は諦めるのではなく、諦めさせられなくてはならない
人は夢を諦めることが不可能なのだから
むしろどうしたら諦めることが可能になるのか
夢はいずれにしろ人を不幸にする
そこで夢を見るのではなく、夢を食べることにした
夢を食べるのは眠い食事だった
夢の前にはあらゆることがたいしたことがなかった

握手をするのだから、当然食べてもいいと思った
食べられていいのだと勘違いするようにした
夢の悲しみがいくらあっても空腹は消えなかった
というのはそもそも空腹とは腹がなければならないからだ
過ちに気づいたからといって、後悔があるわけではなかった
反省の航海と、公開された不幸さがあるだけだ
いつも笑顔でいるためには、苦悩が必要だった
そこで苦悩を夢で編んでみた
皆殺しにされるためであれ、拷問されるためであれ
その前に草むしりが必要だと思った
同情からは雑草ひとつ生えてこなかった

秘密にしておきたい鍵があった
暴露したい錠があった
じょうろがあるのに、中には虹しか入っていない
火山のような爆発とともに
わがままが月によって祝福された
かんしゃくはそのまま微笑んでいた

いつも電話ボックスの中で携帯を使う女性
信号機を眺めて横断歩道を渡る猫
図書館で声を出して遊ぶ子供
壊れた自動販売機に群がる幽霊
スリープに入った傷だらけのカード
冷房の効いた金魚蜂

私がいなくなったと聞いたのでドアが開けっ放しになった
人類から排除された屑が、人類を屑としてあつかう風景
のろさとゆっくりの絶対的な速さの違い
攻撃力のシミュラークル
形而上学的なウイルスの閃き

虚しい試みに疲れ果て
疲れ果てるが心視の
心眼開眼頭痛開眼
眼を閉じ手を閉じ口を閉じ
そして心を閉ざしたら
あつかましい太陽に
水素爆弾くれてやれ
いつか心は明るくなるか
もう明るくはならないよ
そうといっては目頭の
冷たくなった心臓に
ようやく口は開いたとさ